遺産分割の手続

遺産分割の手続としては、相続人全員で遺産分割協議を行います。遺産分割協議をどのように開くのかに決まりはありません。全員が集まって話すのも、連絡を取り合って決めても問題ありません。

ただし、協議は相続人全員の協議によることが必要で、一人でも参加していなければ無効になります。

遺産分割協議の結果は、書面でも口頭でも当事者同士がわかるようにすればよいこととなっていますが、相続による不動産の登記手続や相続税の申告に使用する事もありますし、後日の争いを避けるためにも遺産分割協議書を作成しておいた方が確実です。遺産分割について、いつまでに行わなければならないという期限の定めはありませんが、相続税がかかるほど財産がある場合は相続税の申告期限(10ヶ月以内)等がありますので、注意が必要です。

遺産分割協議書

遺産分割協議書には、相続する財産について、誰がどの相続をするかを明確に記します。 不動産がある場合は登記事項証明書の記載をそのまま転記します。有価証券について、預金、預り金、株券等は事前に金額、株数を確認します。

また、代償の支払について、誰が目的物の何を代償として、誰にいつまでに支払うのかを記し、併せて違反がある場合の処置も記します(これを代償分割といいます)。遺贈について、第三者に対する遺贈がある場合は、誰がいくら負担しどのように処理するのかを明記します。

書式は自由で、署名以外であればワープロを使って作成した文書でもかまいません。

ページ数がまたがった書面になれば契印(1つの文書が数ページにまたがる場合に押す印)が必要です。住所の記載は住民票や印鑑証明に記載されている通りに記載します。

遺産分割協議書には、各相続人が署名し、印鑑証明書を添付します。署名はサインでも記名でも有効ですが、実印で押印する必要があります。

各相続人や包括遺贈者など参加者各1通ずつ作成し、各自で所持保管します。

遺産分割協議がまとまり、各相続人の相続分が確定しても、その後の手続きが必要になります。家や土地の不動産は所有権移転登記が必要になりますし、動産についても、引渡してもらわなければなりません。預金、株式などについては、名義変更が必要となります。

協議で遺産分割がまとまらない場合は、裁判所を利用します。裁判所に対して遺産分割調停を申し立て、遺産分割手続を進めていきます。

調停手続

調停手続では、調停委員という裁判所の職員が当事者双方より個々に事情を聴き、必要に応じて資料等の提出を求めたり、遺産の鑑定を行う等して各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し、解決案を提示したり助言したりして合意へ向けて話し合いが進められます。

話し合いがまとまらず、調停不成立になった場合には、審判という手続きに移ります。

調停は、基本的に話し合いですので、ある程度自由な形で遺産分割を定めることができますが、審判では、裁判官が遺産に属するもの又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して審判することになります。

遺産分割調停・審判では、調停委員・裁判官が関与して遺産分割の手続を進めていくことになりますが、彼らは当事者の誰の味方でもなく、民法のルールに則って手続が進んでいくことになります。

ご自分の主張を調停委員や裁判官に納得していただくためにも(この点においては、主張・立証の方法が重要となってきます)、早い段階で専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

当事務所では相続案件を取り扱っておりますので、遺産相続でお悩みの方はお気軽にご相談ください。

弁護士 井筒 壱が誠心誠意、ご対応致します。

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